写真選評

'1974 第8回「キャノンコンテスト
「姉妹」最優秀賞
応募総数 47,926点
モノクローム 31,263点
カラースライド 12,397点
カラープリント 4,266点
応募人数 8,044人
審査員:田沼武能・東松照明・渡部雄吉

  安田さんの作品は、これと他にもう1点連作のものとどちらがよいか、それぞれよさがあって最後まで残っていたが、1人1賞の原則にしたがって審査員全員の意見のもとに、この作品に落ちついた。写真は子供を二人ならべて素直に撮ったものであるが、単にストレートに写しただけでない童話的なファンタジックな作品になっている。設定された場所は駐車場かと思うが、霧がバックを単純化し、ソフトな情感をかもしだしている。子供の表情も自然でよいし、誰の目にも全体の雰囲気のよさが素直に理解できる作品である。

’1976 第21回月光フォトコンテスト
「小さい妖精」推薦・地域賞
応募総数   22,044点
審査員:秋山庄太郎・岩宮武二・尾崎三吉・中村正也・西山清
柳谷次男

受賞感想文
  今回はからずも「月光フォトコンテスト」推薦の通知を戴き喜びに耐えません。この写真は私が一番好きなファミリー写真の一部です。長女「佳子」が小学校2年生の初夏に突然髪を短くすると言いだしました。理由は泳ぎにくいかららしい。妻は折角のばしたのにと言う。そこで私は、それなら記念写真を写しておこうと、琵琶湖・比叡山へと出かけた。その日は小雨が降り比叡山は霧に包まれていた。子供は霧の中ではしゃぎ回った。撮影しだすと長女が一輪の野の花を持っていた。しだいに風景と相まって「小さい妖精」へと変貌していく、私は夢中でシャッターを切った。その記念写真が受け入れられ、我が家の最高の記念写真となりました。

’1975 光芸クラブ展
出品作 「ホリデー・冬日・シーズオフ 」
’1975 第1回フォトグランプリコンテスト
「ホリデー」 特選
’1975 サン・レンズフォトコンテスト
「冬日」 推薦
●田中雅夫(写真評論家)

「心動かす創作意欲」

 大阪光芸クラブはかって日本カメラ・フォトアートなどの月例で画期的な成績をあげ、優秀な作家を数多く生んで関西に光芸ありといわしめた大阪光芸クラブが大阪という字をはずして心機一転の意気込みで東京展を開催したということであろう。こういう説明をするというのは、このクラブが久しく沈黙していたからで、その沈黙が低迷によるのか否かは他からうかがい知れなかったが、今回の展示を見て内に力を蓄えていたこと、新しい世代がたくましく育ったといういう二つのことが痛切に感じられ、再生とか新生とかいう言葉はかならずしも適切ではないけれども、会場全体にみなぎる活き活きした創作意欲に強く心を揺り動かされた。このクラブのように一つの表現方法あるいは形式を十分に身につけてしまった作家が中核となっているところでは古い写真の像は容易に捨てきれないのがほんとうである。時代の要求するものや若い作家が希望するものが何であるか分かっていても、それだけでは新しい想像のイリュージョンもエネルギーも生まれないものだ。光芸クラブはみごとにそれをやったわけだが、その担い手のほとんどが無名の新人作家だということは大変示唆に富んでいる。目に付いた作品をあげてみると、山本博之「動物」・安田稔「シーズンオフ」よく扱われる題材なのだが型を破った構成であり、それでいて独特の叙情をただよわせ魅力がある。松村高秀「光景」・奥脇孝一「1974年11月24日の夕景」・ほかに石本寿雄「部屋」・渡辺稔「ヌード」・有野永霧「残像」・・・しかしいずれににしてもこのクラブの新生は祝福に価するものといっていいだろう。

' 2005 YAHOO !!  Internet Guide
9
月号
BEST WEB GUIDE
「姉妹」
 カメラを趣味や仕事にし、撮影した写真を使えば気軽に写真鑑賞を楽しめるが、その質は玉石混交だ。ここでは、思わず見入ってしまう上質なギャラリーだけをピックアップしている。夏の暑さを忘れて、しばしアートな世界に浸ってみてはいかがだろうか。

 いつまでも見とれていたい
           アート写真 美術館

 グラデーションの美しさが映える
安田稔写真館
 http://myasuda.o.oo7.jp/

 
光を生かしたモノクロ写真を得意とする写真家・安田稔氏のサイト。
ショーウインドウ越しに被写体を捉えた「硝子の中に」や、娘の成長を記録した「娘」など、きっちり計算されて撮られた独創性の高い作品を存分に楽しめる。 (誌面より抜粋)

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