写真選評
旅の符
第一章 「埋もれ」
’78 第2回 ’78JPS 展
銅賞
審査員:秋山庄太郎・植田正治・川口政雄・高村規・奈良原一高
中村正也・林忠彦・細江英公・三木淳・横須賀功光・渡辺義雄
渡部雄吉。

第一次審査 応募総数446点
第二次審査        429点
第三次審査        80点
最終審査        銅賞となる。

第二章 「フォトエッセー」
’79 アサヒカメラ3月号

●砂川しげひさ(漫画家)
 エッセーだから、あんまり肩をいからせて撮ったという写真には見えないし、散文的というのかな、① は飛行機雲ですか。ペンダントか何か置いてあるのかと思った。こういう見る方を惑わせる写真は、非常に好きですね。② もいいな。

●中村立行(写真家)
 まあ、エッセーだから許すとして、少し遊びすぎているというかな、くさいというか、川田さんの遊びと違うんだなあ、川田さんの気まぐれな遊びはもっと楽しんでいるけど、これはかなり苦しんでいるというきがする。

第三章 「寺院」
’77 大阪光芸展
審査員:渡辺義雄・桑原甲子雄・秋山庄太郎・篠山紀信・大倉舜二 田嶋一雄・玉田顕一郎。

「旅の符」 ノミネート作品批評

●玉田 安田穫史さんの「旅の符」はいかがでしょうか。

桑原 4つの組写真に分かれているんですが、割合い個人的な写真で、観念的ですから、ちょっとよくわからない部分があるんですね。写真の技術な面では完成しているのですがね、画面の方から僕に何か訴えてくるものということがちょっと稀薄でね、見る方に何か吸い込まれていくような、そんな感動がないんですよ。これは作者の実に個人的な感受性みたいなところで終わってしまっている。

秋山 写真の中にポエジーがあって、なんだか、ちょっと引かれるんですね。それと組写真として、少し多すぎたり少なすぎたりする。だから作者の意図が、解りかけたり、解らなくなったりする。つまり冗舌であったり、寡黙ありすぎたりするわけです。アマチュア写真の場合、こうしたことが非常に多いですね。こんどのアマチュア大賞への応募の組写真のあり方もそんな感じがします。やたら多い枚数というのも、イメージが拡散してしまいますからね。

渡辺 気をひく写真ですね。だからそれぞれのテーマを、まことに簡潔に組み合わせてあるんですが、自分よがりなところが多少あるような気がします。

玉田 旅に作者がでて、主観的に情緒とか情念みたいなものを撮ろうとしたのではないかと思いますが、何か自分の気持ちよりも、写真を作ろうという気持ちに走ってしまって本当に自分が旅にでて、めぐり合ったものとの出会いの感動みたいなものと、ちょっと質が違っていて、写真をうまく作ろうという意識の方が強くですぎているようです。

桑原 そうですね。自分の内部の旅ですね。それもいいんですが、自分の内部の旅が、見る者に伝わってくる説得力が弱い感じですね。

第四章 「館」
’79 富士フォトコンテスト
ブロック賞

’79 田嶋一雄賞 アマチュア写真大賞
4組を「旅の符」として公募。
自薦、他薦応募 2,510点
展覧会作品 150点
カメラ雑誌・公刊物 650点
第一次審査 3,310点
第二次審査 18点
第三次審査 8点
最終審査  ノミネート作品となる。

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